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"Karugo's IRELAND"
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ウイスキーろまん 第3回
【再び『ミドルトン』に会いに】
1.タナボタ旅行 2.失望と希望
1.タナボタ旅行
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1998年7月の旅のスケジュールは、父の仕事と遊びが適当にミックスされていた。
取引先のアイルランド工場見学、なんて話がなければ、父にとっては一生遠い
異国の地で終わっていたのではないだろうか。
おかげで、とても結びつかないような組み合わせが、現実に起きてくれた。
トムさん(取引先の社長さん)、工場作ってくれてありがとう!
かるごも棚ボタ気分 を味わえて――あくまでオマケとしての参加
だけど――とにかく、行けるだけでうれしいんだから!
仕事関係のアレンジもあったので、取引先の方々に出会ったり、
あちこち同行させていただいたりであったけれど、にぎにぎ和気あいあい。
電車に乗ったり、貸し切りバスで動き回ったり、ゴールウェイやコネマラ、
バレン高原やモハーの断崖、古城ホテルでのランチ、中世風晩餐などなど、
ちょろちょろとアイルランド西部のエッセンスも感じることができたし……。
行けば行くほど、さらに進みたくなる、また来ようなんて決意を固めたりする、
そうやってずるずる惹きつけられてしまう、アイルランドのなにか、不思議な
なにか…………なんだろう?
さて、ウイスキーに話を戻さなくては。
コークは最終日程だったけれど、
ヘリテッジ・センターはもちろん組まれている。
これがなければ!
ごくり。
「さあ、『ミドルトン』再び!」
2.失望と希望
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心を浮き立たせて、行った。
みんなそろって、噂の『ミドルトン』を求めて、行った。
例のコースを歩いて見学もした。
トムさんがテイスティング体験する間、みんなは試飲もした。
そして、いよいよとショップにも足を運んだ…………
と、とっても順調だったのに!
手に入れられなかったんである……!
「もう売り切れてしまったのです」
二ヶ月前にはあったのに?
一本たりとも?
「残念ですが……」
この短期間に、売れ行き絶好調だったらしい。
なんてあっけない結末……。
かるごだけでなく、みながっくり。
父は『ミドルトン』の味を覚えてしまっていたし、
父の友人もまた、あの味わいを楽しみにしていた。
「そんな……」
父は仕方なしに――でもなかっただろうが、
『ジョン・パワー(John Power & Sons)』と、
例の鍵付木箱ウイスキーを購入した。
たしかにダブリン空港で見たアレだった。ここにもあったのか……。
しかし、相変わらず高価だ。
あらためて手にとって見せてもらう。
『DUNGOURNEY―LAID
DOWN IN 1964』
真鍮のプレートに刻まれている。
「どんな味なんだろう?」
これは、じきにわかった。
アイルランド最後の晩餐となったその夜、レストランで封を切ったから。
みんなで味わうことになったから。
重々しく鍵を回し、木箱が開く。どっしりした姿の瓶が寝ていた。
栓を開けて、かわるがわるにおいを嗅ぐ。
「お」
アイリッシュ・ウイスキーのあのふんわりしたかおりとは違っていた。
ツン、とまっすぐ鼻の奥までストレートにくる強さ……。
いよいよグラスへ。
「おお、これは」
瞬間むせてしまうほどの芳香と熱さ。
「喉で飲んじゃいけないんだ、なめるように飲まないと」
「ブランデーなんだな、きっと」
「そうだそうだ、ブランデーだ」
一度にたくさんはいらない。炎の舌が踊るように抜けていき、
身体を芯から熱くしてくれる。
『生命の水』と言うよりも、『生命の火』のようだ。
「1964年だもんなあ……」
「うん。これは強い」
たった一晩で空にするようなタイプのものではない。
そのあとは、父の友人が買った『ジェムソン・ゴールド(Jameson Gold)』
の封が切られ、楽しい晩餐会。
「ミドルトンはしかし、残念だったなあ……」
かるごはそれでも、『ミドルトン』が幻のウイスキーたる風格をもつ以上、
そういうことがあってもいいかな、と思うようになっていた。
「また来ればいいんですよ」
ストックはできなかったけれど、やっぱりアイルランドには『ミドルトン』
だけでない、ウイスキーだけでない、すてきな魅力があることもわかったから。
訪れた場所だけでなく、ご一緒した方々も、出会った方々も、みんなみんな……。
たとえば、ガイドのしのぶさん。
はじめてのアイルランド、ビューリーズのツアーでガイドだったのが、
実はこのひとだった。
なんという偶然、つながり……相変わらず気持ちのいいひとだったし。
それに、ミックさん。このときはまだまだ実感はなかったけれど、今は――。
今は、1999年10月の旅につながる出会いだったのだなあと、
不思議に感動している。
ありがとう、トムさん。お父さんも、ありがとう。
いろんなことが、たったひとつの、いろんな瞬間に向けて、リンクしている。
豪奢で愉快な、すてきな夕べが続く。おいしい料理を味わい、ときに歌いながら。
みんな笑顔で、顔をほころばせてすごす夜のひととき……――。
アイルランドは、笑顔をほころばせる国なんだろう。
そして、アイリッシュ・ウイスキーはまこと、「口」をなめらかにする、
すべらかなお酒なのであった。
……すまないけど、しつこくつづくよ!!......@"
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